外壁複合改修工法とは
外壁複合改修工法とは、劣化したモルタル塗り仕上げ外壁及びタイル張り仕上げ外壁等の改修に応用される工法で、ポリマーセメント系塗材並びに繊維ネット又は透明樹脂系塗料とアンカーピンを併用した改修工法であり、ピンネット工法とも呼ばれています。既存の外壁仕上げ層を存置したまま、アンカーピンと繊維ネットを複合して用いることにより、アンカーピンによる仕上げ層の剥落防止と、繊維ネットによる既存仕上げ層の一体化により剥落に対する安全性を確保しております。また、透明樹脂を用いることにより透明度の高い複合層を構成し既存タイル面の意匠を活かすことも可能となっております。全面的な外壁複合改修工法の採用は、劣化部分の改修に加えて未劣化部分の予防保全を実施することとなり、外壁全体としての耐久性、剥落に対する安全性を大幅に向上することができます。すなわち、部分的な改修工法を逐次適用する場合と比較して、剥落に対する安全性が高く、且つ、長期の耐久性を確保できるため、結果的にはLCC(ライフサイクルコスト)が有利になることが期待できます。
外壁複合改修工法の概念図
注)*今泉勝吉監修 建築物の劣化診断と補修改修工法、
建築技術2001年11月号増刊VOL.16、No.622、p93、2001.11